コロナウイルスと経済ブログ

2019年冬に中国武漢にて始まった新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)によるその後の経済への影響を批評するブログです。

日本は欧米のように感染爆発や医療崩壊になるか?

日本政府の特徴として、常に保守的で一歩遅れた判断を下す点が挙げられる。今回、ロックダウンを行っていないのは賢明である。

これは、日本の官僚の特徴として、正しいが先鋭的な判断をして他人に批判されるのを恐れ、むしろ多大な犠牲を出しても上手く言い訳が出来ればそれで良いという、劣後的な判断に落ち着く傾向があるからである。だが今回、欧米のような厳しいロックダウンをしていないのは経済を守るためにも賢明である。

 

春節において中国人観光客が大挙して日本に訪れた(その数、数十万人以上)。その際に日本に入り込んだ中国人のコロナウイルス感染者の数、日本の都市部における人口密度、満員電車などの対人距離の近さから考えれば、現在の感染者数は奇跡的に少ないと考えられる。

 

感染者が欧米と比較して少ないと考えられる要因は、①日本人の免疫力が高い、②マスクをして(もともとマスクを愛用する日本人であるが、特に2月くらいから顕著になり、4月現在、都市部では8,9割以上の殆ど全員しているに等しい状況である)、対人的に大声で話さないことが多い、③もともと清潔好き、④ウイルスの遺伝型の違いの可能性(これはきちんとした調査が必要) などの要因が挙げられる。

また日本政府により情報統制と検査数制限の結果、医療機関への殺到を回避できている点も大きい。

 

特に、現在、結核予防接種(BCG)を義務付けている国において極端に感染者数・死亡者の伸びが少ないという疫学的現象が世界的に注目されている。結核菌は通常の(例えばブドウ球菌大腸菌のような)感染症を起こす細菌と異なり、細胞内に侵入し、抗体をはじめとする人間の液性免疫系によって簡単には排除されないという実に困った性質を持つ菌である。このため、細胞内に侵入した外敵を排除するための免疫機構が結核菌に対する防御として重要であり、これをBCGは促進することが考えられる。ウイルスは独自の増殖機構を持たずヒトの細胞内への侵入を必要とする。そのためウイルスに対する防御は結核菌に対する防御と類似している。BCGを打つと、ベースの非特異的な免疫力が増強されるという研究成果もある。これらから、BCGを打った人間で未知のウイルスに対する防御力が非特異的に高まっている可能性は理論的に十分ありうると考えて良い。

 

さて、日本の現在の感染者数の推移は一度もBCGを義務化したことのないアメリカと比べて、どうだろうか。無理やり、今後アメリカやイタリアのようになるのだ、と主張する学者も多いが、私はそうならないと見ている。

今でも多数の人間が密集して電車に乗っているが、病院に入院している重症患者は一向に指数関数的には増えておらず、微増しているだけに過ぎない。

 

結論として、局所的な流行は今後も起きるであろうが、2020年夏までのシーズンについては、アメリカ・イタリアのような感染爆発・大規模な医療崩壊には至らないと考えている。